1950s–
60s
Jimi Hendrix・Creamがギターの「歪み」を発明。ブルースの感情表現とロックの電力増幅が融合。メタルの語法はほぼすべてここで生まれた。
ベトナム戦争・公民権運動が社会の怒りを爆発させ、ロックが「反抗の音楽」になった。Elvis以降の若者文化の攻撃性は年々増し、やがてメタルの土台となる。
1969–70
Black Sabbath誕生。「Black Sabbath」の重低音リフでヘヴィメタルが生まれた。オカルト・戦争・絶望が歌詞のテーマになり「音楽で暗闇を語る」扉が開いた。
アポロ月面着陸(1969)で人類が夢の頂点に立った同じ年、ウッドストックで「愛と平和」の限界も見えた。「理想の終わり」という虚無感が、Black Sabbathの暗い世界観と完全に共鳴した。
1970s
Judas Priest・Deep PurpleがHeavy Metalを洗練。ツインギター・高音ボーカル確立。Black Sabbathのダークな側面が独立し、Doom Metalの原型も生まれ始める。
オイルショック(1973・1979)で先進国が「成長の限界」を初めて体感。失業率上昇・閉塞感・労働者の怒り。この重さがそのままDoom Metalのテーマになっていった。
1979–80
NWOBHM(英国新波)勃興。Iron Maiden・Motörhead・Saxon。ツインリードギターと叙事詩的な曲構成が確立され、後のすべてのメタルの直接の親となった。
サッチャー政権誕生(1979)で炭鉱閉鎖・失業率激増。労働者階級の若者の怒りとパンクの反骨精神がNWOBHMの燃料になった。「怒りを音楽に」する伝統がここで確立された。
1981–83
Metallica「Kill 'Em All」(1983)でThrash Metal誕生。Big 4(Metallica・Megadeth・Slayer・Anthrax)が互いを意識しながら加速し合った。
MTV開局(1981)で音楽は「見るもの」になった。しかしテレビに映らないアンダーグラウンドシーンが独自に力を強め、Thrash Metalはその流れに乗った。「MTV嫌い」がスラッシャーのアイデンティティでもあった。
1984–87
Helloween「Keeper of the Seven Keys」(1987)でPower Metal確立。Metallica「Master of Puppets」(1986)が最高傑作。Death「Scream Bloody Gore」でDeath Metal誕生。
チェルノブイリ原発事故(1986)で核の恐怖が現実になった。Metallicaの「Master of Puppets」や「Disposable Heroes」は核戦争・軍国主義を直接テーマにしており、時代の恐怖と完全に同期していた。
1989–90
Dream Theater「Images and Words」でProgressive Metal確立。Ministry「Mind is a Terrible Thing to Taste」でIndustrial Metal誕生。
ベルリンの壁崩壊(1989)・東欧解放。西側と東欧・北欧の音楽シーンが溶け合い始め、ノルウェーのアンダーグラウンドが世界につながる契機になった。これが1991年のBlack Metal爆発の伏線となる。
1991–93
ノルウェーでBlack Metal勃興(Mayhem・Burzum)。教会放火・殺人事件が続発。Paradise Lost「Gothic」でGothic Metal。EmperorでSymphonic Black誕生。
Nirvana「Nevermind」(1991)グランジ旋風でメジャーシーンが激変し「ヘヴィな音楽」が大衆化した。またインターネット商用化(1993)で音楽情報がWebで流れ始め、マニアックなメタルシーンが世界中のリスナーに届くようになった。
1992–97
At the Gates・In FlamesでMelodic Death Metal誕生(Gothenburg Sound)。Skyclad・FinntrollでFolk Metal開花。Nightwish(1997)でSymphonic Metal確立。
映画「ブレイブハート」(1995)・「ロード・オブ・ザ・リング」の映像化への期待。ファンタジー・中世・民族叙事詩への大衆的関心の高まりが、Folk MetalとSymphonic Metalの世界観と完全に一致し、追い風になった。
1994–2000s
Korn(1994)でNu-Metal全盛。Killswitch Engage(2002)でMetalcore台頭。メタルが若者大衆文化に浸透した時代。
Napster登場(1999)で音楽のP2P共有が爆発・業界激震。インディーバンドが自力でファンを集められる時代が始まり、アンダーグラウンドのメタルバンドも恩恵を受けた。iPod誕生(2001)で音楽はさらに個人のものになった。
2008–
Periphery・Animals as LeadersでDjent誕生。Vildhjartaが「Thall」を生む。配信時代でジャンル融合が加速し、サブジャンルが無限に増殖し始める。
Spotify誕生(2008)でストリーミング時代へ。YouTube・SNSで世界中のバンドが即座につながり、ジャンルの境界が溶け始めた。2020年代にはSunoなどAI音楽ツールが登場し「メタルの作り方」が根本から問い直されている。